2010年11月17日

国家破産、あるいは初心者のためのハイパーインフレ入門

最近は、日本の財政破綻ブームらしいです。
書店にいくと「2012年日本国家破産!」だとか「日本破滅まであと5年!」みたいなタイトルの本が山積みされております。「国家破産」や「財政破綻」というキーワードでGoogle検索してみるのも面白いですね。
「いつ国家破産が起こるのか。」とか「日本が国家破産する可能性。」とか、ノイローゼ的な検索候補がずらりと並んでいます。
国家破産

経済は人間の感情(心理)で動いています。以前、LTCMが破綻した時もそうでした。LTCMはマイロン・ショールズやロバート・マートンといった経済学者が中心となった、いわば資産運用のドリームチームみたいなグループで、ノーベル賞まで受賞しています。 LTCMは、簡単に言ってしまうば、人気が高く割高な商品を空売りしていたわけです。彼らが空売りする理由は、ようするにこの商品は本来の実力よりも過大評価されていて、いつか値下がりするだろうと予測していたからです。ノーベル賞受賞の天才たちがそう言うのだから間違いありません。
ところが、起こるはずがないとされていた「ロシアの国家破産」が起こってしまい、LTCMの運用は全て裏目に出てしまいます。日本の国家破産も、冷静に分析してみると「起こるはずがない」ように思えてしまいますが、果たして本当にそうなのでしょうか…。まあ、僕にはわかりません。

書店では「破綻する派」と「破綻しない派」の壮絶なバトルが繰り広げられていますね。「破綻する派」には、辛坊治郎・浅井隆など面妖な論者が並び、「破綻しない派」には、高橋洋一・三橋貴明・上念司といった名前が並んでいます。
書物的に一番面白いのは副島隆彦という人(どちらかというと破滅願望者か?)の著書で、経済予測本でありながら、極上のエンターテインメント小説であるかのようなその幻想的な内容、熱のこもった文体には抱腹絶倒させられます。


この国の表面に出ている知識、情報などの多くは、ウソばかりだ。アメリカに飼育され、洗脳されつくした日本メディア(テレビ、新聞)が垂れ流す捏造情報ばかりである。私は彼らと違って自分のお客様(読者)を騙さない。本当のことだけを書いてきた。私たちが見ているテレビや新聞などはウソつきの山で、ウソ八百のガラクタ知識の山だということを、本当に頭のいい人ならそろそろ気付いている。

… おかしなことに、今年の1月30日の、スイスでのダヴォス会議(世界経済フォーラム。世界の最高支配者たちが一堂に集まるビルダーバーグ会議の表の顔)に、普通は、日本は首相が参加することになっているのに、今年はなんと仙谷由人が日本政府代表として参加している。ここで、奇怪な儀式か何かに参加させられて、仙谷は脳におかしなものを吹き込まれたのだろう。「センゴクよ。今後は、お前が中心となって私たちに、日本の資金をもっと貢げ。いいか」と。<新たなる金融危機に向かう世界:副島隆彦>



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さてさて、随分と前置きが長くなってしまいましたが、国家破産とハイパーインフレについて考えていきたいと思います。
まず「国家破産」というのは、国の借金が返済できなくなる状態。これは会社も同じで、ようするにデフォルトというのは国家という企業が倒産することなのですね。国家には「国債」という膨大な借金があります。
国債=債券というのは一種の金融商品で、実は僕達一般人も購入できるのです。国が国債という債券を刷り、僕達がそれを100万円で購入したとしましょう。 5年間大事にその債券を握りしめておき、それから5年後、その債券を国に返すことで110万円をゲットできるという仕組みです。ようするに、5年間何もしないで10万円の利益(利息)がでたわけですね。

でも、冷静に考えると、これって国家が借金している状態ですよね。今100万円を貸して、5年後に本当に110万円になって返ってくる保証はどこにもありません。それでも国家だから安心(まさか日本政府が俺の100万円持って、そのまま夜逃げしたりしないだろう)ということなのでしょうか。
最近は「日本国債が暴落する」なんて噂が流布していますから、誰も個人向け国債を購入しようとはしません。挙句の果てに財務省は「国債を持てる男子は女子にモテる」なんて宣伝まで始めてしまいました。
それでも、実際に政府は国債をどんどん刷って、誰かがそれを購入しているわけです。その「誰か」というのは、実は僕達自身なのです。僕達一般人が国債を購入した経験なんて一度もないのに、何故、いつの間に買わされているのでしょうか。答えは銀行などの金融機関にあります。

僕達一般人は、銀行に何百万、何千万というお金を預けています。そして、銀行はその(僕達の)お金を使って、国債を購入しているわけです。ようするに、僕達のお金が銀行に勝手に使われて、国債という借金を背負わされていると言うことなのです。
だって、そうでもしないと、銀行自体に利益がでませんよね。銀行は、企業に利息付きで融資する以外にも、国債を購入して地道にコツコツと小銭を稼いでいる金融機関だったりします。そんなわけで、銀行の店舗自体には現金があまりありません。だから、銀行強盗してもあんまり意味がないのです。


今はまだ郵便局や銀行に国民の貯蓄がたくさんあるので、誰かが多少現金を引き出しても、銀行や郵便局が、その預貯金で買った国債をまとめて売る必要がないからです。
ですがもし、個人が一斉に金融資産を取り崩して消費を始めたらパニックです。預貯金の残高が急減して、銀行も郵便局も国債を買う余裕を失います。持っている国債も売らなければなりません。
…新しい国債が売れなくなれば、政府は満期の来た国債の払い戻しが出来なくなります。なぜなら現在、毎年支払期限の来る国債のために、新たに国債を発行してお金を工面しているからです。「期限の来た国債を払い戻せない」=「国家財政の破綻」です。<日本経済の真実:辛坊治郎>


国家は今どうしても100万円の現金が欲しい。だから「5年後に110万円にして返済するからこの国債を100万円で買ってくれ。」と言って、A銀行がそれを購入します。 それから5年後、国家はA銀行に110万円を返さなければなりませんが、実はお金に余裕がなく、返済するあてがなくなってしまっていたのです。
だから、国家はこう言いました。「5年後に220万円にして返済するから、200万円でこの国債を買ってくれ。」と。それで、国家は200万円の現金を手にしたことになります。新しく手に入れたこの200万円の中から、A銀行に110万円(前5年分)を返済するというのです。
ようするに、古い国債の借金を返済するために、新しい国債を売ってその場しのぎをしているわけだから、新しい国債が売れなくなれば倒産するのは当然と言えば当然なんですね。

そして「破綻する派」は、国家破産とハイパーインフレはセットでやってくると言います。ようするに、国が借金を帳消しにするために(現在アメリカが行っているように)紙幣をたくさん刷って、円をジャブジャブ溢れさせるというわけです。円の価値が低くなると、当然物価は上昇していきます。たとえば、つい最近ではジンバブエという国が2008年に年間230万倍のインフレを経験しました。こうして、人々はトランクに札束を詰めて、買い物へ行くようになります。今朝、牛丼が3000円だったものが、夜になったら30000円になっていた…、これがハイパーインフレの世界です。(※実は、日本も戦後に一度これを経験しています。)
しかし、今の日本で本当にこんなことが起こりえるのでしょうか。「破綻しない派」の論客は、これらの破滅願望に対して冷静に反論していきます。


【無理やり破綻させようとしても、逆に日本経済は復活してしまう】
国家破産のホラーストーリーを語る国家破産論者の最大の問題点は、「日本が変動相場制の国であること」を完全に忘れている点です。

… ということは、もし外国人が45兆円の円売りをしかけてきたら、テイラー=溝口介入の1.5倍の規模なので、だいたい30%くらい円安になることが予想できます。 2010念8月31日現在、1ドル83円前後です。これが30%円安になると、1ドル=110円前後の円安になります。
現在、日本の輸出産業は円高に苦しんでいるので、もし為替レートが一気に円安になれば、逆風が一気に追い風に変ることになります。海外での売上が、何もしなくても30%増加することになるからです。まさにいいこと尽くめです。
国家破産を煽りまくっている人たちの主張は、「国家が破産しそうだ。だから今すぐ増税しろ!」ということです。最後に「増税」という結論に導くための前提が「国家破産」という非常時なのです。前項でお話ししたように、日本人を洗脳して思考停止させるためには「非常時だから」というニュアンスを含んだ言葉が必要です。<日本は破産しない!:上念司>


それでも破綻とハイパーインフレが不安な人は「実物資産」に手を出すことになります。その代表格が「金地金」などの貴金属でしょう。ところで、金地金を購入するときには、身分証明(氏名&住所)が必要なことはご存知ですか。もちろん、税務署は金地金購入者をリストアップ、把握していることでしょう。国家は全てお見通しというやつです。そして国家破産、ハイパーインフレなんていう非常時になれば、金地金も国家に没収されかねません。「金地金+没収」でキーワード検索してみるとよいでしょう。
そんなわけで「生き残るため」の最終手段は、日本という国を捨てて、比較的安全な、のんびりした国へ移住することが一番だという結論に至ります。うーん、英語力って大切ですねえ…。

 
posted by もときち at 20:26 | ECONOMY | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする 
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