2010年11月16日

為替の基本

最近はニュースでやたら「円高、円高」と騒がれていますね。 「このまま円高の状況が続いていったら日本経済は潰れてしまう。」とか。
そもそも、円高や円安になるといったいどういうことが起こるのでしょうか。 僕達の生活にはどういった影響が与えられてくるのでしょうか。今回は外国為替の基本中の基本を、子供にもわかるような内容で書いていきたいと思います。

日本では「円」という通貨が使われていること、アメリカでは「ドル」という通貨が使われていること、あるいはヨーロッパでは「ユーロ」が、イギリスでは「ポンド」という通貨が使われていることはご存知だと思います。日本で買い物をするときは「円」を使いますが、海外旅行などでアメリカに行った時に「円」で物を買おうとしても断られてしまいます。そのために、僕達は円をドルに両替するわけです。
このように、円をたくさんドルに両替する人がいるということは「円よりもドルの方が欲しい」という意思の表れですよね。つまり、円の価値が下がりドルの価値が高くなる…、簡単に言うとこれが「円安ドル高」です。
一方で、アメリカ人が日本へ旅行したいとき、ドルを円に両替すれば逆のことが起こります。「ドルよりも円の方が欲しい」という意思の表れは、ドルの価値が下がり円の価値が高くなるということ、つまり「円高ドル安」になるわけです。
円安とは、円という通貨が世の中に不要なくらいジャブジャブ溢れている状態。円高というのは、円という通貨が世の中にあまり出回っておらず、みんな喉から手が出るほど欲しい状態なんですね。

僕達が日本円をドルに両替するときは、銀行へ行ったり、あるいは空港の両替所へ行ったりして、「この日本円をドルに両替してください。」と頼みます。しかし、この時1ドルもらうのに何円必要なのかは、その時になってみないとわかりません。今日は1ドルもらうのに80円必要だけど、明日は1ドルもらうのに100円もかかってしまう。 1ドルもらうのに日本円でいくら必要なのか…、というレートは毎日変化しているのです。
ここで質問。今日は1ドルもらうのに100円必要、明日は1ドルもらうのに80円必要と言われたとき、あなたは今日いますぐに日本円をドルに両替しますか? …しませんよね。 明日まで我慢すれば20円得した気分。たった20円の差益ですが、これが1ドルではなく100ドル両替するとしたらどうでしょう。今日は100ドルもらうのに10000円必要ですが、明日まで我慢すれば8000円で済んでしまうわけです。
繰り返しますが、前者のように円を沢山払わないとドルがもらえない状態…、円の価値が低い状態を円安と呼び、後者のように少ない円でたくさんのドルがもらえる状態…、円の価値が高い状態を円高と呼びます。

ともすれば、僕達個人が海外旅行をする時、あるいは海外製品を購入するときは、少ない円でたくさんのドルと交換できる円高状態の方がお得のような気がします。しかし、日本人にとって、円高って良いことばかりではないのです。
たとえば、日本を代表する自動車メーカーのトヨタ。トヨタは世界の市場へ、たくさんの自動車を輸出販売しています。アメリカのドラマを見ていても、よく「プリウス」とか「レクサス」を目にしますね。トヨタやソニーなどの企業が、なぜあそこまで大きくなれたかというと、アメリカなどの外国人がたくさん製品を購入してくれたからなんですね。日本人口なんて1億人規模ですからたかが知れています。トヨタやソニーは、日本国内にとどまらず、アメリカという巨大な市場を求めていわたけです。
さて、トヨタがアメリカへ1000万円で自動車を売るとしましょう。本日の為替レートは1ドル100円。つまり、アメリカ人は10万ドルでトヨタ車を購入できるわけです。ところが、明日の為替レートは1ドル80円、昨日よりも20円の円高…。アメリカ人が1000万円のトヨタ車を購入するのには、12万ドル以上かかってしまうことになります。ようするに、円高になると、アメリカ人は日本の製品が高くて買えないような状況になってしまうわけですね。
普段何気なく聞いている経済のニュース。「今日は1ドル80円、昨日は1ドル81円。」というたった1円の差であっても、トヨタやソニーなどの輸出企業にとっては、経営上の大問題になったりするのです。
もちろん、円高によってダメージを受けるのは輸出企業だけではありません。国内産業だって海外からの輸入商品と競合しているわけです。たとえば円高によって海外からの輸入作物が大幅に安くなれば、当然国内の農家は苦しむことになってしまいます。

僕が子供の頃は、もっと(日本銀行が)お札をたくさん刷って、みんなに配ればみんなお金持ちで幸せになれるじゃないか! …なんて思ったものですが、たくさんお札を刷って、日本人全員が年収1億円になれば、今の10倍裕福な生活が出来るかといったら、そうではありません。今の10倍の量のお札を刷ったとしても、世の中の商品や娯楽も同時に10倍の量になるわけではないですよね。食品はもちろん、家電製品や生活雑貨にしたって、そんな爆発的に生産量が増えるわけではありません。つまり、お札をたくさん刷るということは、商品の数はたいして増えてないのに、お金の量だけがどんどん増えていくという状態なわけです。だから、お金の価値が下がっていき、それに合わせて商品の値段はどんどん上がっていきます。みんなが年収1億円になっても、吉野家の牛丼だって1杯3000円になってしまいます。

ところで、現在アメリカが行っている為替政策は、まさにこの「たくさんお札を刷る」というやり方なのです。
アメリカはドル紙幣をたくさん刷って、世の中にジャブジャブ溢れさせようとしています。ドルをたくさん刷れば、ドルの価値が低くなる、つまり円高ドル安になりますね。最近ニュースで騒がれている円高の一因は、アメリカがたくさんお札を刷っていることにもあるのですね。
しかし、アメリカはいったい何故そんなことをしているのでしょうか。
理由のひとつに、アメリカという国が中国や日本といった外国に対してたくさん借金をしているというのが挙げられます。自らドル紙幣を供給することで、自国の借金を目減りさせようという考えです。あるいは、ドル紙幣を刷るだけ刷っておいて(他国に握らせておいて)、ある日突然「アメリカは今日からドル紙幣をやめて、新しい通貨にすることにします。だから、みなさんが持っているドル紙幣は使えません。」という反則技を発動するんじゃないか? …なんていう黒い噂まであるくらいです。

 
posted by もときち at 12:59 | ECONOMY | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする 
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